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【交通事故】救急車を呼ぶ目安や呼んだ場合の費用

この記事をご覧の方の中にも、交通事故そのもの、あるいは交通事故直後の状況を目撃し、

  • 自分だったらどう対処すればよいのか?
  • 救急車は呼ぶべきなのか?

などという疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか?

多くの方にとって、車は日常生活において欠かせない交通手段となっている以上、いつ交通事故を起こし、起こされるか分かりません。

そこで、この記事では、

  • 交通事故発生時にやるべきこと(法律上の義務)
  • 救急車は呼ぶべきか?呼んだ場合の費用
  • 義務を怠った場合の罰則、点数
  • 交通事故発生時にやって欲しいこと

について詳しく解説していきたいと思います。

ぜひ最後までご一読いただき、交通事故が発生した場合の参考としていただけると幸いです。

目次

交通事故発生時にやるべきこと(法律上の義務)

まず、交通事故(人身事故、物損事故を問わず)発生時には、道路交通法という法律で次のことをやるべきだ(法律上の義務)としています。

強い衝撃、強い音によって「交通事故を起こしてしまった」などと明確に気づいた場合はもちろんです。

また、ちょっとした衝撃、音によって「交通事故かな?」、「交通事故かもしれない・・・」、「何か物に当たったかな」などと交通事故発生を未必的に気づいた場合でも同様です。

なお、事故状況によっては交通事故発生時に、加害者なのか被害者なのかわからないという場合もあるかと思います。

また、加害者、被害者が負傷しており次の行動を取ることが困難な場合もあるかと思います。

そのため、道路交通法では加害者、被害者を問わず車両等の運転者及びその同乗者(以下、運転者等といいます)に対して次のことをやるべきとしています。

⑴ 直ちに車を停止させること(停止義務)

衝突等で強制的に車が停止した場合を除き、まずは車を停止させることです

どのタイミングで停止させるべきかですが、道路交通法では交通事故があった(と気づいた)後「直ちに」とされています。

この「直ちに」には若干の幅があります。

しかし、直ちに停止する必要があるのは運転者等に次の救護義務、報告義務を取らせる必要があるからです。

したがって、たとえば、交通事故現場から100メートルも200メートルも離れた時点で停止したとしても「直ちに」停止してとは認められないでしょう。

⑵ 負傷者を救護すること(救護義務)

負傷者の負傷の程度は問いません。

つまり、負傷者の怪我の程度が軽いからといって救護義務が免除されるわけではありません。

また、負傷者かどうかは病院で医師の診察を受けてみなければ分からないという場合もありますから、決して自己判断で相手方が負傷者かどうかを決めつけてはいけません。

したがって、多くの場合、救護義務があると考えた方が無難です

救護の内容としては

  • 負傷者に声をかける
  • 負傷の有無、負傷の程度を確認する
  • 負傷者を安全な場所に移動させる
  • 救急車を呼ぶ(119番通報する) (→この点は「2」で詳しく解説します)
  • (可能であれば)病院へ搬送する

ことなどが考えられます。

注意しなければならないのは、負傷者が直ちに治療を受け得る状態に置き(たとえば、救急車を呼び)、
なおかつ、その状態に達するまで(たとえば、救急車が交通事故現場に到着するまで)負傷者に付き添うということです。

被害者から「大丈夫です。」などと言われたからといって、決して負傷者が治療を受け得る状態に達する前に交通事故現場から立ち去ってはいけません。

⑶ 道路における危険を防止すること(危険防止措置義務)

負傷者の救護に加えて道路における危険を防止することも必要です。

特に、後続車による追突などによって二次被害が生じないような措置を取るべきです。

衝突した車が他の車の交通の妨げとなっている場合は、スマートフォンなどで車の衝突位置等を撮影してから他の場所に移動すべきでしょう(妨げとなっていない場合は証拠保全の観点から、警察が交通事故現場に車での間は移動させてはいけません)。

また、発煙筒を使う、△表示板を立てるなどして後続車に自車の位置等を知らせる措置を取りましょう。

なお、その際、他の車に轢かれないよう、他の車の交通には十分注意して行うようにしましょう。

⑷ 警察官に交通事故内容を報告すること(報告義務)

⑴から⑶のことを終えたら(⑷よりまず⑴から⑶のことを行うことが優先されます)、110番通報して警察官に事故内容を報告する必要があります。

報告といっても、自ら積極的に答える必要はありません。

警察官から尋ねられたことに対して記憶のある限り正直に答えれば足り(詳細は警察官が交通事故現場に着いたのちに聴かれます)、その後は警察官の指示に従いましょう。

なお、交通事故の一方当事者が警察官に110番していない、110番通報することを渋るという場合は、他方当事者が110番通報しなければなりません(被害者であっても110番通報しなければならない場合があります)。

警察官に報告しなければ「交通事故証明書」という書類を発行してもらえず、のちのち困ることにもなりかねません。

救急車は呼ぶべき?呼んだ場合(救急業務)に費用はかかる?

前記⑵のとおり交通事故当事者には救護義務が課されますから、救護義務の一環として救急車を呼ぶこともあるでしょう。

しかし、交通事故、相手方の負傷状況により救急車を呼ぶ必要があると明らかに分かる場合もあれば、救急車を呼ぶべきかどうか分からない、という場合もあるでしょう。では、仮に後者の場合、何を目安にして救急車を呼ぶべきでしょうか?

交通事故の客観的状況が一応の目安

この点、明確な目安というものはありませんが、交通事故における客観的状況を一つの目安とするとよいでしょう。

客観的状況とは、たとえば

  • 事故態様(スピードを出しすぎていなかったかなど)
  • 衝突時の音、衝撃の程度
  • 車の損壊の程度
  • 相手方の外見(出血しているか、会話が成立しているかなど)

などです。

これらの状況を総合的に観察すれば、救急車を呼ぶほどの必要性、緊急性があるかどうかがある程度分かります。

一番やってはいけないことは、相手方の外見のみを見て「無傷だ」「大丈夫だ」などと思い自己判断で救急車を呼ばないことです。

外見的には無傷の場合でも、事故態様が悪質で衝突時の音、衝撃が強く、車の損傷程度が激しい場合は、やはり救急車を呼ぶ必要があるでしょう。

また、相手方が「痛みはない、大丈夫。」「自分で病院に行くから救急車は呼ばないでくれ。」と頼んできた場合も同様です。

その場合でも、交通事故の客観的状況から救急車を呼ぶべきと判断できる場合は、救急車搬送で病院へ行くよう相手方を説得すべきでしょう。

救急車を呼んだ場合(救急業務)に費用はかかる?

救急車を呼んだ場合、救急車に乗り込む救急隊員の人件費、救急車が病院から交通事故現場を往復する交通費、負傷者を救急車に乗せ救急車内で応急処置をする際にかかる応急処置費(医療器具・物品の使用にかかる費用)などが発生します。

しかし、これらの費用は税金で賄われており、救急車を呼んだからといって費用は発生しません。

しかし、その救急車に医師が同乗し、交通事故現場あるいは救急車内で医療行為を行った場合は治療費が発生します。

また、病院に搬送されて以降は、通常の治療費(診察料、検査料、投薬料、手術料、処置料)に加えて「選定医療費」が発生する場合もあります。

選定医療費とは
400床以上の地域医療支援指定病院(大規模病院)で治療を受ける際に、特定の治療(医療)サービス(救急搬送等)を受けることを選定した場合に発生する費用です。

※救急搬送の場合は、負傷の程度によりますが「選定医療費」は発生しないことが多いです。

また、病院へ搬送された時間帯等によっても発生することがあります。

もっとも、初診にかかる選定医療費は、最低5000円以上はかかります(病院により異なる) 。

これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれの価値観により異なりますが、交通事故では何より救護義務を尽くすこと(人命救助)が最優先ですから、高いと思って救急車を呼ぶことを躊躇することは避けていただきたいものです。

なお、交通事故の場合、治療の際に発生した費用を負担するのはもちろん加害者です。

多くの方は任意保険に加入していますから、病院への治療費の支払いは保険会社の負担の下、保険会社が対応してくれるでしょう。

救急車を呼んだ後の費用のことばかり考えて、救急車を呼ぶ必要があるのに呼ばない、という選択肢を取ることだけは絶対に止めましょう。

弁護士保険

義務を怠った場合の罰則、点数

では、前記1でご紹介した義務を怠った場合にいかなる罰則、点数を科されるのかみていきたいと思います。

罰則(刑事責任)

罰則は道路交通法で、①「停止義務違反・救護義務違反・危険防止措置義務違反」の場合と②「事故報告義務違反」の場合に分けて規定されています。

① 停止義務違反・救護義務違反・危険防止措置義務違反の場合

5年以下の懲役又は50万円以下の罰金、あるいは10年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

後者の場合は、人が死亡した、怪我したことが当該運転者の運転に起因する、と認められる場合に適用されます。

いわゆる人身事故の場合は後者が適用されることが多いと考えておいた方がよいでしょう。

② 事故報告義務違反

3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

点数(行政責任)

⑴は刑事責任ですが、刑事責任とは別に行政責任、つまり点数、免許取消しなどの処分を受ける可能性があります。

① 停止義務違反・救護義務違反・危険防止措置義務違反の場合

35点。

35点といえば、最低でも(累積点数がない場合でも)、免許取消しです。また、新たに免許を取得できない期間(欠格期間)は3年です。なお、人身事故の場合、以上の義務違反による点数の他に、相手方の怪我の程度等に応じて点数が加算され、合計の点数は35点以上となるでしょう。

② 事故報告義務違反の場合

なし。

交通事故発生時にするべきこと

前記1から3までは交通事故発生時にやるべきこと(法律上の義務)を解説いたしました。ここからは、「やらなくても罰則などはないけれども、やった方がいい、やらないとのちのち困りますよ」ということをご紹介したいと思います。

個人情報の交換

顔見知り同士の交通事故というのは稀です。

むしろ、面識のない方同士の交通事故がほとんどでしょう。

そこで、まずお互いが誰なのか把握するため、氏名、生年月日、住所、職業(会社員の方であれば会社名など)を交換し合いましょう。

できれば免許証等で確認するとよいです。もっとも、連絡先を含め、相手方の対応などによっては無理に交換する必要はありません。

お互いの保険会社の把握

お互いの自賠責保険会社、任意保険会社を把握しましょう。保険会社に対して賠償金(保険金)を請求する際などに必要となります。自賠責保険会社は車に備え付けておかなければならない保険証書で把握することができます。

ご自身への任意保険会社への報告

やるべきことがひと段落したら、速やかにご自身の任意保険会社へも事故報告しましょう。保険会社への報告は約款で義務とされていますし、報告後は特約(搭乗者傷害特約、人身傷害補償特約、無保険車傷害特約、弁護士費用特約)を使える可能性があります。

まとめ

交通事故を起こした、起こされた場合、加害者、被害者を問わず、また運転者か同乗者かを問わず、負傷者を救護する義務が発生します。

その際、救急車を呼ぶべきか迷うこともあるかと思いますが、負傷者の見た目や負傷者の言うことだけで判断するのは危険です。交通事故の状況など客観的な状況も考慮しながら適切に判断しましょう。

弁護士

弁護士 黒田悦男 

大阪弁護士会所属
弁護士法人 茨木太陽 代表
住所:大阪府茨木市双葉町10-1
電話:0120-932-981

大阪府茨木市の他、京都市、堺市にて、交通事故被害者側に特化。
後遺障害認定分野については、注力分野とし、医学的研鑽も重ねています。

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