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【基礎知識】交通事故証明書が必要になる6つの場面

交通事故証明書は、交通事故の事故処理のさまざまな場面で必要となる公的な証明書で、交通事故に関するさまざまな手続きで必要となる非常に重要な書類です。

しかし、実際に交通事故証明書が必要となるケースのほとんどは、損害保険会社への保険金の請求手続となるため、交通事故証明書に関する手続きもご自身が加入している保険会社(損保)が代わりに行ってくれる場合がほとんどです。そのため、重要な書類であるにもかかわらず、「交通事故証明書について詳しいことはわからない」という人は珍しくありません。

そこで、今回は、交通事故証明書について最低限知っておくべき基本的な知識についてまとめてみました。

目次

交通事故証明書とは

交通事故証明書とは

交通事故証明書は、交通事故が発生したことを証明するための公的な文書のことです。交通事故証明書は、自動車安全運転センターが、交通事故を管轄する警察から提供された情報に基づいて作成するものです。

交通事故証明書はどのようなものか?

交通事故証明書は、実際に発生した交通事故の状況について記されています。交通事故証明書に記載される主な事項は次のとおりです。

・交通事故の発生日時
・交通事故の発生場所
・交通事故の当事者の氏名
・交通事故の類型

なお、この情報はあくまでも「客観的な事実(警察が事故現場を確認した内容)」に過ぎません。

したがって、「当事者のどちらが悪いか(過失の大きい当事者はどちらか)」といった評価に関する情報は記載されていません。

【参考】交通事故証明書の見本(自動車安全運転センターウェブサイト)

交通事故証明書が必要となる場面

交通事故証明書は、次の場合に必要となります。

・相手方の任意保険から補償を受ける場合
・自賠責保険から補償を受ける場合
・自分が加入している自動車保険を利用する場合
・労災保険を適用する場合
・交通事故を原因とするケガの治療で会社を休む場合
・相手方への損害賠償請求を訴訟やADRなどの示談以外の手続きで行う場合

つまり、交通事故証明書は、人身事故・物損事故を問わず、交通事故で生じた被害を処理するためのほとんどの場面で必要となる重要な書類といえます。

交通事故証明書の取得方法

交通事故証明書の取得

交通事故証明書を取得するための手続きについての重要なポイントについて解説していきます。

交通事故が発生したら必ず警察に届け出る

交通事故証明書は、自動車安全運転センターが警察から提供された情報に基づいて作成される書類であるため、警察が交通事故を認知していないときには作成されることもありません。

したがって、交通事故が起きたことを警察に届け出ていない場合には、交通事故証明書が必要となっても発行してもらえないということになってしまいます。

なお、交通事故が発生したときには、物損事故・人身事故のいずれの場合でも警察に届け出る(110番通報などをする)義務があります(道路交通法72条1項)。

交通事故の届け出は、事故直後に110番通報して行うことが原則です。

例外的に、災害時など緊急事態の場合には、翌日以降に直接警察に届け出ることでも行うことができます。やむを得ない事情で110番通報できなかった場合には、速やかに届け出の手続きを行った方がよいでしょう。

第七十二条 
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。

交通事故証明書を取得する手続きの流れ

交通事故証明書が必要となる場面は、保険金(損害賠償)の受け取りに関する手続きがほとんどです。

自動車保険に関する手続きのために交通事故証明書が必要となるケースでは、自動車保険会社が交通事故証明書を取得してくれます。

ただし、次のようなケースでは、交通事故証明書の発行手続きを交通事故の当事者が自身で行わなければならない場合があります。

・交通事故の被害について労災保険を適用する場合
・交通事故のケガの治療のために会社を休む場合
・任意保険に加入していない場合

交通事故証明書の発行を申請する方法

交通事故証明書の発行申請の方法は、手数料(1通あたり600円)の払い込み方法に応じて、次の3つの方法があります。

インターネットバンクやペイジー払いを利用できる人であれば、すべての手続きを自宅で処理することのできるインターネット申請が便利といえます。

ゆうちょ銀行・郵便局で申請する(手数料を払い込む)ときには、証明書発行の申込用紙を取得する必要がありますが、申込用紙は、全国各地の自動車安全運転センター事務所だけでなく、警察署・交番及び駐在所にも備え付けられているので、簡単に入手することができます。

なお、申請に際する細かな注意点については、下記のウェブページの情報も参考にしてください。

【参考】交通事故に関する証明書の申請方法(自動車安全運転センターウェブサイト)

交通事故証明書の申請期限(事故後いつまでなら取得できるのか)

交通事故証明書の発行手続きには、原則として申請期限があります。
申請期限は、事故の種類によって次のように異なります。

・人身事故:事故発生から5年
・物損事故:事故発生から3年

相手方との示談がかなり長期化してから訴訟などに切り替えるようなケースでは、交通事故証明書の申請期限を過ぎてしまう可能性があります。

この期間を過ぎた場合には、交通事故が起きた都道府県のセンター事務所に問い合わせましょう。

交通事故証明書(人身事故)を取得できなかった時の対処法

被害者の受傷がごく軽いものであった場合などには、「事故処理に時間をかけたくない」、「人身事故になって違反点数が高くなったら困る」、「保険を使わずに賠償する」といった理由などから、人身事故ではなく物損事故として届け出られることがあります。

また、事故後数日経ってからケガをしていたことに初めて気がついたというケースもあるかもしれません。

このようなケースでは、まず、物損事故から人身事故への切り替えを行います。

そして人身事故の交通事故証明書を取得できるように対応することが基本となります。

人身事故として届け出ていなければ、人身事故の被害について自賠責保険の手続きを進める際に必要となる「人身事故の交通事故証明書」を取得することができないからです。

ただし、交通事故発生から一定期間以上経過してからケガに気がついたという場合では、人身事故への切り替えを認めてもらえないことがありますのでご注意ください。

このような場合には、交通事故証明書に代わるものとして「人身事故証明書入手不能理由書」を提出することで、損害賠償(保険金)の請求手続きを進めることになります。

人身事故証明書入手不能理由書の作成方法

人身事故証明書入手不能理由書は、任意保険に加入している場合には、その保険会社(もしくは自賠責保険会社・労働基準監督署など)が定める指定の様式を用いるのが一般的です。

したがって、それぞれの様式に定められた必要事項を記入すれば作成することができますが、主な記載事項としては次のようなものがあります。

・当事者
・事故の発生日時
・事故の発生場所
・物損事故の届出先の警察署及び届出日時
・人身事故証明書を入手できない理由

なお、人身事故証明書入手不能理由書を作成する際には、交通事故の相手方(または目撃者などの第三者)の自署によるサインをもらう必要があります。人身事故証明書入手不能理由書は、私的な書類に過ぎないので、交通事故が発生したことについて客観的に示す必要があるからです。

人身事故証明書入手不能理由書のリスク

人身事故として届け出をしなかった場合でも、人身事故証明書入手不能理由書を作成・提出すれば保険金の請求手続きを進めることは可能です。

実際に、交通事故を原因とする被害が生じている(ケガをしている)にもかかわらず、書類が足りないというだけで補償されないことは適切ではないからです。

しかし、「人身事故証明書入手不能理由書」は、公的な証明書である人身事故の交通事故証明書とは異なり、「任意の私的な書類」に過ぎません。そのため、人身事故証明書入手不能理由書を用いて保険金請求を進めた場合には、次のようなことが原因で、補償額が少なくなる(損害賠償の支払いを拒否される)リスクが生じる可能性があります。

・ケガが軽傷であることが強く推定されるため治療費の早期打ち切りを求められる
・後遺症が残った場合でも、後遺障害が認定されない
・過失割合が本来の割合よりも不利になる

自転車事故でも証明書はもらえる?

自動車事故の証明書

近年は、ロードバイクのようなスピードがでる自転車を利用する人が増えていることもあり、自転車同士、自転車と歩行者との交通事故の被害も重大になりつつあります。

自転車事故の場合でも、警察へ交通事故がきちんと届け出られていれば、(人身事故の)交通事故証明書を取得することができます。

なお、自転車の事故の場合であっても、交通事故は必ず警察に届け出なければならないのは、自動車事故の場合と同様です。

自転車事故と自動車事故との違い
 ~保険に加入していない場合の対処法など~

自転車事故の場合は、次の点で自動車事故との違いがあります。

・保険に加入していない場合がある
・保険会社が示談を代行してくれない場合がある

近年では、都道府県条例により自転車の損害賠償責任保険への加入を義務化する自治体も増えてきましたが、自動車の場合のような強制保険の仕組みはありません。したがって、万が一の事故に備えて保険に加入していないケースも未だに多いでしょうし、自転車保険の中には示談代行サービスのないものもあります。

これらの場合には、さまざまな手続きを交通事故の当事者(加害者・被害者本人)だけで行わなければならない手間が発生します。

万が一の備えとしての弁護士保険

交通事故の事後処理は、当事者にとって負担の軽い作業ではありません。当事者双方に感情的なしこりが残っていたケースでは、当事者間でやりとり(人身事故証明書入手不能理由書への署名など)をすることそれ自体がトラブルの原因となることもあるでしょう。

また、交通事故の届け出をしていない(交通事故証明書がない)、物損事故として届け出てしまった(実況見分調書がないため事故状況の詳細がわからない)ことが原因で、示談がもつれてしまうことも珍しくありません。

保険会社に示談を依頼できない場合の示談交渉をはじめとした交通事故後の処理は、弁護士に任せることがトラブル予防や納得のいく結論を得るためにも適切といえます。しかし、交通事故の加害者となってしまった場合や、自転車事故の被害者となってしまったケースでは、弁護士費用の負担が気になってしまいます。

そのような場合に威力を発揮するのが弁護士保険です。弁護士保険に加入していれば、費用の心配なく安心して弁護士に依頼することができます。

まとめ

交通事故証明書は、交通事故が発生したことを客観的に証明するために必要となる重要な書類です。

警察への届け出がないなど、交通事故後の対応に問題があると、保険金請求などの手続きで不要な負担を負わされることになってしまいます。

また、交通事故証明書は、交通事故の客観的な事実関係のみを記した書類ですから、それによって過失や損害額などを判断することはできないので注意しましょう。

交通事故をめぐって相手方とトラブルが生じたときには弁護士に依頼することが最も確実で安心です。しかし、弁護士に依頼をすれば高額な費用がかかるので依頼を躊躇してしまう人も多いかもしれません。

弁護士保険は、不測のトラブルに巻き込まれてしまったときにとても役に立つ万が一の備えです。弁護士保険に加入していれば、自転車事故など賠償額が低く弁護士に依頼しづらいケースや、任意保険に加入していないようなケースでも、交通事故後の処理を安心して任せることができます。

弁護士

川島 浩 弁護士

第一東京弁護士会
住所:東京都港区新橋2-12-17 新橋I-Nビル9階
電話番号: 0120-600-800

2010年弁護士登録。企業顧問法務から、一般民事事件、不動産案件、借金問題、B型肝炎、家事事件と手広く行っています。

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