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免停は6点、取り消しは15点!交通事故を起こしたときの違反点数の仕組み

交通事故を起こしてしまった場合には、免許停止・免許取り消しとなってしまう場合があります。人身事故では、違反点数が大きくなってしまうこともあるからです。

特に、過去にスピード違反・駐車禁止などで累積の違反点数がある人の場合には、ちょっとした人身事故でも免許停止となってしまうことがあるので注意する必要があります。

免許の違反点数は、仕組みが複雑なので、免許を取得したときに教わったはずでも細かいことは忘れてしまいがちです。また、免許取得後にルールが変わるということもあります。

そこで、この記事では、主として交通事故を起こしてしまった場合に違反点数がどうなるのか、免許停止や免許取り消し、罰金などの処分が科された場合の流れなどについて解説していきます。

交通事故を起こしてしまっていつから処分されるのか心配という人はもちろん、万が一の場合に備えて知識を確認しておきたいという人も是非参考にしてください。

目次

人身事故を起こした場合の法律的な責任
(行政責任、民事責任、刑事責任)

交通事故を起こしてしまった運転手は、一定の法律上の責任を負わなければなりません。

自動車の運転手が負うべき法律上の責任には、次の3種類の責任があります。

・行政上の責任(処分)
・民事上の責任(処分)
・刑事上の責任(処分)

行政上の責任

運転免許は、行政(各都道府県の公安委員会)が法律(道路交通法)に基づいて市民に与える自動車運転についての権限です。運転免許という仕組みがあるのは、自動車の運転は、他人の生命・身体に深刻な被害を与えるおそれのある社会的にも危険性の高い行為だからです。

そのため、重大な違反を犯した運転手に対しては、行政機関から一定の不利益処分が与えられることがあります。行政処分の内容としては、「反則金」、「免許の停止(いわゆる免停)」や「免許の取り消し」があります。

この記事のテーマである交通事故の違反点数制度は、運転免許を交付した行政による処分(反則金・免許停止・免許取り消し)が行われるかどうかの基準として位置づけられるものということになります。

民事上の責任

自動車の運転が原因で、他人に損害を与えてしまった場合には、その損害を賠償する責任が生じます。

たとえば、自動車の追突事故を起こしてしまったときに、相手の車や建物などの修理代金を弁償する場合が、民事上の責任(損害賠償責任)の典型例ということになります。

上でも書いたように、自動車などによって引き起こされる事故は、被害者に深刻な被害を与えてしまうことが少なくありません。特に、死亡事故や重大な後遺障害が残ってしまうような大ケガをさせてしまった場合には、加害者の資力を超える損害賠償義務が発生することも珍しくありません。

そのような場合に、加害者の資力不足が原因で被害者が泣き寝入りさせられてしまうことを避ける目的で自動車の所有者には、人身損害に対する補償が確実に行われることを担保させる目的で、いわゆる強制保険(自動車損害賠償責任保険)への加入が法律上義務づけられています。

刑事上の責任

交通違反(交通事故)が一定の条件を満たす場合には、刑事上の責任が生じることもあります。たとえば、死亡事故を起こしてしまった場合には、「過失運転致死罪」に問われ、懲役刑となり刑務所で服役しなければならない可能性があります。

また、法定速度を大幅に上回る速度違反のような悪質な交通違反を伴う交通事故の場合(いわゆる「赤キップ」を切られた場合)には、罰金刑に処されることがあります。

交通事故の違反点数について

交通事故を起こしてしまった場合に発生する法律上の責任は、その交通事故が物損事故なのか、人身事故なのかによって次のように変わってきます。

・物損事故の場合には、原則として「民事責任のみ」が問題となる
  ※建造物に被害を与えた場合や、当て逃げをした場合などには違反点数が発生します

・人身事故の場合には、民事責任だけでなく、行政責任・刑事責任も問題となる

人身事故と物損事故の違い

交通事故の違反点数制度との関係でいえば、人身事故と物損事故との違いは、交通事故を原因とする身体損害(ケガ・死亡)の有無によって決まります。

つまり、理屈の上では、自動車と歩行者との接触事故の場合であっても、被害者である歩行者に全くケガがなければ、人身事故とはならないということです。

そのため、軽微な事故の場合には、「本当は軽傷を負っている」のにも関わらず、物損事故として届け出られるケースがないわけではないようです。

特に、自動車を運転することを仕事にしている人が交通事故の加害者となった場合には、人身事故として処理されれば、免許の停止・取り消しのリスクが生じ、生活(収入)に直結することもあるので、「物損にしてもらえるように被害者にお願いしよう」と思ってしまうことも多いかもしれません。

また、被害者側にとっても、人身事故として届け出られると事故処理に長時間かかってしまうなどの不都合が生じることを懸念して(先を急いでいる理由があるなど)、「きちんと補償してもらえるならかまわない」と考えてしまうこともあるようです。

しかし、このような対応は、被害者側だけでなく、加害者側にとっても不利益となることがあるので絶対におすすめできません。

万が一、ケガをしているにもかかわらず物損事故として届け出てしまった場合(や、物損事故として届け出た後にケガをしていることに気がついたとき)には、すぐに交通事故を管轄する警察所で人身事故への切り替えを行う手続きをとりましょう。

人身事故における違反点数の決まり方

人身事故を起こしてしまった場合の違反点数は、基礎点数と付加点数のふたつの要素で決まります。基礎点数・付加点数の定義を簡単にまとめると以下のようになります。

・基礎点数:人身事故の原因となった交通違反に対して発生する違反点数
・付加点数:人身事故の被害・加害車両運転者の不注意の程度に応じて発生する違反点数

主な交通違反の基礎点数

交通事故の原因になりやすい主な交通違反の違反点数は下記のとおりです。

交通違反の種類 違反点数 反則金の額(普通車)
酒酔い運転 35点 ※罰金刑
酒気帯び運転(0.25mg/ℓ以上) 25点 ※罰金刑
酒気帯び運転(0.15mg/ℓ以上0.25mg/ℓ未満) 13点 ※罰金刑
安全運転義務違反 2点 9,000円
速度超過(15km以上20km未満) 1点 12,000円
信号無視(赤色等) 2点 9,000円
合図不履行 1点 6,000円

※同時に2つ以上の違反行為をした場合には高い方の点数が適用されます

たとえば、前方車両への追突のような、いわゆるもらい事故の加害者側になってしまった場合であれば、脇見運転などが原因となる場合がほとんどでしょうから、安全運転義務違反となり2点の違反点数が科されることになります。

なお、違反点数の一覧は、それぞれの地域の警察のウェブサイトなどで確認することができます。

【参照】警視庁ウェブサイト 交通違反の点数一覧表

また、近年は、携帯・スマホを使用しながら運転する、いわゆる「ながら運転」を原因とする交通事故が後を絶ちません。

そのため、昨年(2019年)の12月1日よりながら運転に対する処分が強化されることになりました。改正の前後における処分の違いは、下の表にまとめたとおりです。

※反則金額は普通車の場合

付加点数

人身事故を起こしてしまったときには、被害の程度に応じて、基礎点数に加えて下記の付加点数も科されることになります。

死亡事故           20点(13点)

傷害事故

後遺障害が残ってしまった場合 13点(9点)
治療期間3ヶ月以上 13点(9点)
治療期間30日~3ヶ月未満 9点(6点)
治療期間15日以上30日未満 6点(4点)
治療期間15日未満 3点(2点)
建造物破壊 (物損)       3点(2点)

なお、この付加点数は、交通事故が運転者(違反行為者)の不注意以外を原因に生じた場合には、約2/3の加点となります(上記表中の( )の点数)。

ただ、違反者の不注意以外の原因の典型例は、被害者側の故意(飛び込みなど)や重過失(信号無視)などがあった場合や、多重事故で第二当事者以下になった場合ですが、通常の交通事故では、違反行為者(加害車両)側の不注意によって生じたものとなるのがほとんどといえます。

交通事故と免許停止・免許取り消し

交通事故を起こしてしまった場合には、その事故によって科される違反点数によっては、一発で免許停止・免許取り消しとなってしまうことがあります。

交通事故までに他の交通違反で累積している点数がない場合における免許停止・免許取り消しとなる違反点数は下記のとおりです。

・免許停止・・・6~14点
・免許取り消し・・・15点以上

たとえば、スマホの画面を保持しながら運転していたことが原因で、歩行者に気づかずに人身事故を起こしてしまった場合には、「スマホ保持の基礎点数が3点」、「人身事故の付与点数が最低でも3点」ですから、被害者側に相応の落ち度がない限りは、いわゆる「一発免許停止」となってしまいます。

道路交通法の改正前であれば、スマホ保持の違反点数は1点でしたので、被害者のケガの程度が軽微であれば1発免停は免れられたわけですから、処分がかなり重くなったことがわかります。

また、被害者のケガの程度が重い(付加点数が大きい)ときには、免許停止の期間も通常の30日ではなく、60日、90日と長期間になってしまうこともあることは、頭に入れておきたいものです。

違反点数はどのくらいで元に戻るのか? 累積制度の仕組み

免許停止・免許取り消しの処分は、1つの事故(違反)だけでなく、過去の事故・違反による違反点数の累積によっても生じます。

つまり、交通事故・交通違反の日から3年前までの違反点数の累積が、6点以上で免許停止、15点以上で免許取り消しということになります。

ただし、過去に違反・事故があっても、その後に安全運転を心がけていた場合には、例外として累積点数を消滅させてもらえる特例があります。

点数計算の特例 ~3年よりも早く累積違反点数が元に戻る場合

過去の累積点数をカウントしない計算の特例が適用されるケースには、次の2つの場合があります。

・前回の違反・事故から1年間無事故・無違反だった場合
・2年以上無事故・無違反だった人が軽微な違反をした場合

たとえば、駐車違反(駐停車禁止区域)で反則切符を切られた数ヶ月後に、スマホ保持の交通違反をおかしてしまった場合には、駐車違反点+スマホ保持3点の合計6点となるので、累積により免許停止となります。

ただし、この両者の違反の間が1年以上空いている場合には、「最初の駐車違反の違反点数は累積されない」ことになるので、違反点数は3点となり免許停止は免れられます。

また、2年以上無事故無違反だった人が違反点数3点以内の軽微な違反をしてしまった場合には、その後3ヶ月間違反がなければ、前の違反点数と後の違反点数は累積されません。

頻繁に事故・違反を繰り返す人に対するペナルティ

違反点数の累積制度は、違反・事故を繰り返す危険な運転者に対するペナルティの一種といえます。

したがって、免許停止・免許取り消しの処分を受けた(直)後にさらに交通違反を繰り返したときには、通常もより厳しく適用されることになります。

たとえば、過去3年以内に免許停止・免許取り消しを受けたことがない(前歴なしの)場合であれば、累積6点以上で免許取り消し、累積15点以上で免許停止となりますが、過去3年以内の前歴のある運転者の場合には、下記のように、これよりも少ない累積点数で免許停止・免許取り消しの行政処分が下されることになります。

・行政処分歴が1回:4点から9点で停止処分、10点以上は取消処分
・行政処分歴が2回:2点から4点で停止処分、5点以上は取消処分
・行政処分歴が3回以上;2点または3点で停止処分、4点以上は取消処分

なお、免許停止処分を受けた場合には、停止処分満了の日から1年以上無事故・無違反であったときには、「処分履歴なし」として取り扱われる計算の特例があります。

【参照】 警視庁ウェブサイト 行政処分基準点数

交通違反してしまった場合の流れ

違反

最後に、交通違反をおかしてしまったときの処分の流れについて簡単に確認しておきたいと思います。

反則金が生じたときの流れ

スピード違反や駐車違反・スマホ保持などの交通違反によって反則金が生じた場合には、いわゆる青キップ(交通反則告知書)と一緒に交付される納付書にしたがって反則金を納付することになります。納付期限は、交付日の翌日から7日以内です。

万が一、納付期限を守れなかった場合には、通告センターでの手続きに移行し、出頭義務が生じるだけでなく、通告センターでの手続きに要して費用(通知書送付費用)も追加で負担しなければならなくなります。

さらに、通告センターからの通知がなされた後も納付しない場合には、刑事手続きに移行することもありますので、きちんと対応するようにしましょう。

【参照】 (警視庁ウェブサイト)  交通違反をした場合の反則金の納付方法について

行政処分(免許停止・取り消し)の場合の流れ

免許停止・免許取り消しの行政処分は、交通違反・交通事故のあったその日に行われるわけではありません。重大な不利益を科す処分となるために、処分対象者(運転者)に意見(異議)を述べる機会を与える必要があるからです。

免許停止・免許取り消しとなる場合には、その原因となった事故・違反の日から1週間~1ヶ月程度で、免許証の発行を受けた運転免許センターから「通知書」が送付されてきます。免許停止となる期間(30日~120日)も、この通知書に記載されています。

通知書が送付されてきたら、指定された日時・場所(運転免許センターが一般的)に出頭して手続を行います。この手続きが終わるまでは免許停止処分とはなりませんので、自動車を運転することは原則として差し支えがありません。

なお、免許停止の場合には、行政処分対象者向けの講習をうけることで(その成績に応じ)免許停止の処分期間を短くしてもらえることがあります(講習は有料・任意です)。

刑事罰(罰金)が科される場合の流れ

交通違反(事故)を起こしたときに、「赤キップ」がきられたとき(一発免停・一発取り消しの場合)には、反則金ではなく罰金刑の対象となります。

罰金刑は、行政罰ではなく刑事罰となるため、必ず裁判手続きを経ることになります。刑事裁判の手続きを行う前提として、検察(警察)による取調べのために出頭を求められることもあります。

赤キップの場合の刑事裁判は、交通事件を専門に取り扱っている簡易裁判所(交通裁判所)での略式手続きになることが一般的です(警察・検察の取り調べの段階で、略式手続きにするか一般の刑事手続きにするかについての説明を受けます)が、嫌疑をかけられている違反内容を認めない(自分は違反していないと反論する)ときには、略式手続きを利用することはできません。

略式手続きとなった場合には、指定された日時に交通裁判所に出頭し、裁判官から罰金刑を言い渡されるだけで裁判は終わりますので、そのまま裁判所内に併設されている窓口で罰金を納付すれば、手続きは終わりです。

罰金の額は、上限額については法律であらかじめ定められています。たとえば、スピード違反であれば10万円、酒酔い運転であれば100万円が罰金の上限額です。相場額というのは難しいのですが、スピード違反であれば6~8万円くらいがひとつの目安の額といえます。

なお、罰金の納付は、一括払いが原則です。期日を過ぎても罰金の納付がないときには、「労役場留置(罰金を刑務所内での労役に変える措置)」という処分がとられますので注意しましょう。どうしても罰金を支払えない事情があるときには、管轄する検察庁に相談することで例外的な取扱いとして分納を認めてもらえる場合があります。

【参照】 検察庁ウェブサイト  略式裁判について

まとめ

自動車の運転は、社会的にも危険の大きい行為です。特に、近年は、悪質なあおり運転、危険運転を原因とする悲惨な交通事故(事件)も増えています。

運転免許の違反点数は、免許停止・免許取り消しといった不利益処分ばかりが気になってしまいがちですが、普段から安全運転を心がけている人には、累積点数の適用除外などの特例による救済制度も用意されています。

交通事故は、被害者だけではなく、加害者となってしまった人にとっても不幸な結末になってしまうことが少なくありません。違反点数についての知識は、安全運転を心がけるきっかけとなることも少なくありません。「わたしは大丈夫」と過信せずに、万が一の場合に備えて、きちんとした知識を習得しておきたいものです。

弁護士

川島 浩 弁護士

第一東京弁護士会

住所:東京都港区新橋2-12-17 新橋I-Nビル9階
電話番号: 0120-600-800

2010年弁護士登録。企業顧問法務から、一般民事事件、不動産案件、借金問題、B型肝炎、家事事件と手広く行っています。

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