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過失割合は30%!?玉突き事故に巻き込まれたときに持っておきたい4つの知識

混雑した道路での追突事故は、さらに他の車を巻き込んだ事故になってしまうことも少なくありません。

たとえば、帰省ラッシュなどで大混雑した高速道路での玉突き事故がその典型といえるでしょう。

玉突き事故のような多数の車両が絡む交通事故の場合には、専門知識のない人にとっては、誰が誰に対して責任を負うべきかよくわからないということも多いと思います。

そこで今回は、玉突き事故が起こった場合の過失割合の損害賠償の支払い方法の基本的な決まり方などについて解説していきます。

目次

玉突き事故とは?

まずは、「玉突き事故」と呼ばれる事故の状況について確認しておきたいと思います。

一般的には、多重衝突のケースを広く「玉突き事故」と表現する場合が多いと思いますが、厳密には、多重衝突のすべてが玉突き事故というわけではありません。

玉突き事故の例

玉突き事故とは、上の図のように、後方車両(A)に追突された自動車(B)が追突の反動でさらに他の車(前方の車(C))に追突してしまった場合の事故のことをいいます。

順次衝突の例

これに対して、すでに衝突事故を起こしている車両(B・C)に、さらに後続車両(A)が追突してしまった場合のことを順次衝突といい、後で解説するように基本的な過失割合も玉突き事故の場合と異なります。

玉突き事故における過失割合について

交通事故によって損害が生じた場合には、交通事故当事者の過失に応じて損害賠償を負担しなければなりません。

以下では、玉突き事故の場合の過失割合の基本的な考え方について解説していきます。

追突事故における過失割合の基本的な考え方 後方車両が10割

追突事故における過失割合は、「追突した側が100%」というのが基本的な考え方です

後方車両には、追突事故を回避するための義務(車間距離の保持や法定速度を守る義務)があるとされているからです。 

たとえば、先に用いた玉突き事故の例の場合であれば、B・Cが交通ルールを遵守している限りは、B・Cが停車中・徐行走行中であったかを問わず、A車の過失が100%ということになります。

追突された側にも過失がある場合 前方車両の落ち度に応じて過失相殺

追突された側(上の例ではB・C)に交通ルール違反などの一定の落ち度がある場合には、それに応じた過失相殺がなされます。

玉突き事故の場合に問題となる被害車両の過失の典型例は「急ブレーキ」です

たとえば、上のケースであれば、Bの急ブレーキ(道路交通法24条違反)が原因でA車の減速が間に合わずに追突してしまったという事情があるときには、Bにも30%の過失が認められることになります

ただし、B車の急ブレーキが追突事故の原因であったとしても、後方車両には、前方車両が急停止した場合でも追突を回避できるだけの十分な車間距離を保持する義務があります(道路交通法26条)ので、B車の過失がA車の過失を上回るということはありません。

道路交通法26条(車間距離の保持)

車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

高速道路の玉突き事故の場合

高速道路では、危険回避などのための例外的なケースを除いては、車両の駐停車が禁止されています(道路交通法75条の8)。

また、高速道路では一般道路よりも前方車両の急ブレーキ・不要な減速の危険も大きくなることから、過失の基本割合も加重され、前方車両の急ブレーキが原因で追突事故が生じたという場合の過失割合は、

「前方車両:追突車両  5:5」となるのが基本です。

また、風景や事故見物のために、前方車両が意図的に減速(急ブレーキ)をしたという場合には、前方車両に重大な過失が認められると考えられるので、前方車両側の過失の方が大きくなることもあります

ただし、渋滞・事故などの場合に前方車両がハザードランプを点灯させるなどの対処をして正しい方法で徐行・停車しているときには、高速道路での玉突き事故であったとしても、後方からの追突車両の過失が100%となるのが一般的です。

順次衝突事故の場合の過失割合

順次衝突は形の上では玉突き事故と似ていますが、すでに先行事故が別に起きているという点で違いがあります。

したがって、過失割合の評価も、個別の事故ごとに判定するのが基本となります。

したがって、原則通りに過失割合を決めた場合には、下に示すように、それぞれの追突について追突した側(後方)の車両が100%の過失があるということになります。

なお、実際の交通事故においては、順次衝突による損害と玉突きによる損害が混在することも考えられます。

上のケースであれば、C車に追突したB車がさらにA車に追突された反動によってC車の被害も大きくなってしまったという場合です。

この場合には、AはC車の被害の増大分について自らの過失割合に応じた負担をしなければなりません。

損害賠償・治療費は誰に請求したらよいのか?
自分は誰に支払えばよいのか?

交通事故によって生じた損害は、交通事故の当事者がそれぞれの責任の程度(過失割合)に応じて負担することになります。

したがって、玉突き事故の場合には、上で解説したように
原則として追突した車両の運転手に責任があるということになるので、最初の追突を発生させた運転手(最後方の車両の運転手)に損害賠償(治療費の支払い)を請求するのが基本といえます。

ただし、前方車両(追突された車両)にも急ブレーキなどの過失が認められるケースでは、下に示すように、その過失割合に応じて、後方車両から損害賠償を請求されます。

過失割合などに納得がいかない場合はどうしたらよいか?

玉突き事故のように3台以上の車両が絡む交通事故では、通常の1対1の交通事故よりも処理が複雑になってしまい、示談でもトラブルが起きやすいといえます。

たとえば、保険会社の対応が雑だったという場合には、いわば「保険会社同士のなれ合い」で過失割合が決められてしまうということもあるかもしれません。

また、玉突きと順次衝突のいずれを採用するかでもめてしまうケースもあるでしょう。

ADRや民事訴訟を利用する

過失割合や賠償額などに納得ができないときには、安易に示談に応じるべきではありません。

示談が成立すれば、その後に過失割合や賠償額を見直してもらうことが難しくなってしまうからです。

当事者同士の示談がまとまらないという場合には、民事訴訟によって最終的な解決を図ることが典型的な解決方法ですが、交通事故の場合にはADRとよばれる裁判以外の紛争解決制度を利用することも有効な方法といえます。

交通事故のADRとしては、交通事故紛争処理センター、日弁連交通事故相談センターが実績などで特に優れています。

これらの手続は無料で利用できるだけでなく、ADRセンターの裁定結果に被害者側が納得した場合には、相手方(保険会社)を拘束することもできるので、非常に便利です。

交通事故紛争処理センター

日弁連交通事故相談センター

まずは弁護士に相談

とはいえ、被害者自身がいきなり民事訴訟やADRを利用すれば、その負担が大きくなってしまうことも少なくありません。

特に、玉突き事故・順次衝突事故のように車両が多く、複雑な交通事故の場合には、正しい判断をするための調査も一対一の事故よりも遙かに難しいといえるので、ADR・民事訴訟を利用しても満足できる結論を出してもらえるとは限りません。

その意味では、玉突き事故の過失割合などについて不満があるときには、まずは交通事故に詳しい弁護士に相談してみることが、最も適切な対処方法といえるでしょう。

また、弁護士にその後の示談交渉を依頼すれば、保険会社による示談代行よりも依頼人の希望を尊重しながら、専門知識・スキルに基づいて示談交渉を進めてもらえる点でもメリットがあるといえます。

まとめ

交通事故は、いつ起きるか予測することの難しいトラブルです。

特に追突事故は、自分は交通ルールを守っていても相手方の不注意などを原因に生じてしまうため、完全に回避する方法もありません。

交通事故示談がうまく進められないというときには、専門家である弁護士に相談・依頼することが最も良い方法といえますが、「費用が気になる」という人も少なくないでしょう。

そのようなときに心強いのが「弁護士保険」です。交通事故の場合は、自動車保険に付帯できる弁護士費用特約に加入することで対応することもできますが、単独型の弁護士保険であれば、交通事故以外の労働問題や離婚・相続トラブルといった普段の生活で巻き込まれうるさまざまなトラブルの際にも利用することができるので、とても安心です。

弁護士
黒田弁護士

弁護士 黒田悦男 

大阪弁護士会所属
弁護士法人 茨木太陽 代表
住所:大阪府茨木市双葉町10-1
電話:0120-932-981

大阪府茨木市の他、京都市、堺市にて、交通事故被害者側に特化。
後遺障害認定分野については、注力分野とし、医学的研鑽も重ねています。

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