弁護士保険ミカタとは

交通事故で逮捕される4つの可能性と逮捕後、釈放後の流れ

今や多くの方が車を運転する時代であるため、「もし交通事故を起こしたら逮捕されるのか?」と、気になるドライバーも多いのではないでしょうか?

この記事では、まず交通事故によってどんな罪に問われるのか、逮捕される可能性があるのか解説した上で、逮捕後、釈放後の流れについても解説いたします。

目次

交通事故を起こした場合に問われる罪と罰則

交通事故を起こした場合は、 以下の2つに分けると分かりやすいかと思います。

(1)自動車運転処罰法
(2)道路交通法違反

1 自動車運転処罰法

正式名称は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」といいます。

①過失運転致死傷罪

過失によって、人を死亡させたり、人に怪我を負わせた場合に問われる罪です。

罰則:7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金

②危険運転致死傷罪

故意に以下のいずれかの運転をし、よって人を死亡させたり、人に怪我を負わせた場合に問われる罪です。

・アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
・進行を制御することが困難な速度での運転
・車の進行を制御する技能を有しないでする運転
・人や車の通行を妨害する目的で(走行中の自動車の直前に進入し、その他)通行中の人又は車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転
・赤信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転
・通行禁止道路を進行し、かつ重大な危険を生じさせる速度での運転

罰則:(死亡の場合)1年以上の有期懲役、(怪我の場合)15年以下の懲役

2 道路交通法違反

①酒気帯び運転の罪

呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上のアルコールが身体に含まれていることを認識しながら運転した場合に問われる罪です。

罰則:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

②酒酔い運転の罪

酒気帯びと異なり、具体的数値に関わらず「アルコールの影響によって正常な運転ができない状態」で運転した場合に問われる罪です。

罰則:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

③無免許運転の罪

無免許であることを認識しながら車を運転した場合に問われる罪です。

罰則:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

④救護義務違反、事故報告義務違反(ひき逃げ)

交通事故を起こしたのに現場から逃走した場合はこれらの罪に問われます。

罰則:
【救護義務違反】10年以下の懲役又は100万以下の罰金(人の死傷が運転者の運転に起因する場合)、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(人の死傷が運転者の運転に起因しない場合)
【事故報告義務違反】3月以下の懲役又は5万円以下の罰金。

交通事故と逮捕

逮捕にはどんな種類があり、どのような要件を満たすと逮捕されるのでしょうか?

この項では逮捕の種類、要件をご紹介するとともに、交通事故の罪別に逮捕される可能性についてもご紹介します。

逮捕の要件

逮捕とは、被疑者の身柄を拘束し、引き続き短期間の拘束を継続することをいいます。
警察に逮捕されると、通常は警察署内の留置施設に収容されます。(詳しくはのちほど解説します)

逮捕は、①通常逮捕、②緊急逮捕、③現行犯逮捕の3種類あります。

①通常逮捕の要件

上記、自動車運転処罰法 については、以下の要件が必要です。

  • 逮捕状によること   ※ 逮捕する際には、逮捕状を示さなければなりません
  • 逮捕の理由(罪を犯したと疑うに足りる相当な理由)があること
  • 逮捕の必要性(罪証隠滅、逃亡のおそれ)があること

【逮捕の必要性に勘案されるもの】

・被疑者の身上関係(年齢、職業、家族関係)
・性格・行状
・同居人の有無
・健康状態
・犯罪の軽重
・態様
・犯罪に対する認否、前科・前歴の有無 など

つまり、逃亡、罪証隠滅のおそれがあり、(身柄を)拘束することが必要な(と判断される)場合に、逮捕されるということになります。

弁護士

捕状請求時に逃亡・罪証隠滅のおそれを基礎づける具体的な事実の立証が常に必要とされるわけではなく、逮捕の理由があれば、通常は逮捕の必要性があるものと考えられます。
つまり、明らかに逃亡、罪証隠滅のおそれがないと判断された場合に限り、逮捕状請求が却下され、逮捕されないことになります。

②緊急逮捕

緊急逮捕は、

  • 警察官等 (検察官、検察事務官又は司法警察職員等)が、理由を告げて逮捕すること
  • 死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯した充分な理由があること
  • 急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないこと

という要件がそろうときに令状なしで逮捕できるものです。

しかし、逮捕後直ちに裁判官が発する逮捕状を要します。そして、ここで上記の逮捕の必要性も勘案されます。

③現行犯逮捕

現行犯人とは、現に(犯)罪を行い、又は現に(犯)罪を行い終わった者をいいます。
(刑訴法212条1項)

現行犯逮捕は令状なしで行えるものですから、逮捕者にとって犯罪と犯人が明白であることが必要です。
つまり、

・犯罪と犯人の明白性
・犯罪の現行性
・時間的接着性の明白性

という要件が必要とされます。

逮捕される?逮捕されない?

前段のとおり、逮捕といっても様々な事情を考慮しなければならないことはお分かりいただけるかと思います。そして、その事情は当然個々の交通事故によって異なりますから、一概に逮捕されるか・されないのか結論を申し上げることはできません。

しかし、過去の実例などから、あくまでも一般論として逮捕の可能性をお示しすることはできます。
以下、上段(交通事故を起こした場合に問われる罪と罰則)でご紹介した、罪ごとにみていきましょう。

①過失運転致死傷罪

逮捕される可能性は比較的低いです。

しかし、複数名を死亡、怪我させるなどの重大事故に発展した場合などはやはり逮捕される可能性も捨てきれません。

さらに、過失運転致死傷罪に加えて酒気帯び運転、酒酔い運転、無免許運転、ひき逃げなどの罪を犯せば逮捕の可能性はますます高くなります。仮に、逮捕されるとすれば、現行犯での逮捕が多いです 。

②危険運転致死傷罪

逮捕される可能性は比較的高いでしょう。

しかし、怪我の場合(危険運転致傷罪の場合)、怪我の程度によっては逮捕されない可能性もあります。

他方で、死亡の場合(危険運転致死罪の場合)は逮捕される可能性がかなり高いと考えた方がよいでしょう。

③酒気帯び、酒酔い、無免許運転

①の過失運転致死傷罪と比べると逮捕される可能性は高いです。

特に、酒気帯び、酒酔い運転に関しては、飲酒に関する裏付け捜査が必要とされるところ、逮捕しなければそれらの証拠を隠滅されるおそれがあると判断されるからです。また、無免許運転についても余罪が多数疑われる場合などは逮捕される可能性があります。

現行犯での逮捕が多いです。

④ひき逃げ

交通事故において、最も逮捕される可能性が高いです。

なぜなら、まず交通事故現場から逃走していること自体が逮捕の要件である「逃亡のおそれ」を示す事情となりえますし、処分や刑罰自体も重たくなることが予想されるからです。

刑事手続きの流れ

では、最悪、逮捕された後の流れと釈放されるタイミングについてみていきましょう。

逮捕後の流れ

逮捕後の流れは以下のとおりです。

①逮捕(身柄拘束)から ⑤検察官による勾留請求(逮捕から勾留請求までの手続)

警察官が、①被疑者(犯人と思われる人)を逮捕し、②弁解録取を行い、留置(身柄拘束)の必要があると認めたときに、逮捕から48時間以内に、③検察官送致(送検)を行います。

その後、送致を受けた検察官は、④弁解録取を行い、留置の必要があると認めたときは、被疑者の身柄を受け取った時から24時間以内に、裁判所に対し、⑤勾留請求を行うことになっています。

なお、留置施設には広さ10畳ほどの房が設けられ、必要なとき以外はその房の中で集団生活することになります。

逮捕から勾留請求までは、3日間(72時間)を超えてはいけない と規定されています。
(刑訴法203条1項、205条1項、205条2項)

⑥裁判官による勾留質問から ⑧検察官の処分決定の期間(勾留期間)

( 勾留請求後、裁判官による勾留質問を経て、裁判官が勾留決定ないし勾留請求却下の決定します )

勾留期間は、 勾留請求をした日から10日間で、やむを得ない事由があると認められる場合は最大で10日間延長されます。

勾留後は、警察、検察の取り調べを受けます。警察では取調べや実況見分が、検察では取調べがメインとなります。

こうした捜査で得られた証拠を基に、検察官が、⑧検察官の処分決定(起訴、不起訴)を決めます。

⑧検察官の処分決定 以後

起訴には、略式起訴と正式起訴があります。

略式起訴された場合は略式裁判といって書面審理のみで裁判が行われます。法廷に出廷する必要はありません。また、身柄を拘束されている場合、略式命令が出た段階で釈放されます。

他方、正式起訴された場合は法廷に出廷して裁判を受けなければなりません(正式裁判)。しかも、身柄を拘束されている場合(勾留されている場合)、保釈されない限り、身柄拘束が続きます

なお、無罪もしくは、執行猶予付き判決が言い渡されるとその時点で釈放されます。なお、拘置所から出廷した場合、拘置所で荷物の確認等をするため、拘置所に戻ってから釈放となります。

釈放後の流れ

逮捕されたとしても身柄拘束の要件(留置(身柄拘束)の必要がなくなった場合)を満たさない限り、釈放されます。
釈放される時期は、前記の流れでいうと、 以下の3つに分けることができます。

  • ③警察官の弁解録取の後
  • ⑤検察官の弁解録取の後
  • ⑦勾留から⑧検察官の処分決定までの間(勾留期間中の釈放)

逮捕期間中、勾留期間中に釈放されると在宅事件扱いとなり、(警察署や検察庁に呼ばれて)捜査がされ、取調べなどを受けることがあります。

過去の実例からすると、交通事故中でも過失運転致死傷罪、酒気帯び、酒酔い、無免許運転は、逮捕期間中あるいは勾留期間中に釈放されることが多いです。

保釈について

起訴された後 (⑧の後)に、保釈を請求できます。保釈が認められれば、一定の保証金(保釈保証金)を納めるのと引換えに、釈放されることになります。

保釈されると在宅事件扱いとなり、身柄事件同様、 住居の制限など生活に一定の制約が課されることになります。

また、裁判所の呼出し(公判期日など)に応じないと保釈が取消され、再び身柄拘束され、保釈保証金も没収されます。 その他、保釈の際に付された条件に違反したり、証拠隠滅した場合も同様です。

保釈は、被告人、弁護人、直系の親族等が請求しなければ、認められません

交通事故で逮捕されたらすべきこと

逮捕されると「この先どうなってしまうのだろうか」「家族は、仕事は、生活は・・・」など様々な不安がよぎると思います。

そんなときには、早めに弁護士と接見しましょう。

逮捕された人に弁護士が、1回無料で面会に行く当番弁護士制度があります。

本人が依頼する場合、警察官、検察官または裁判官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えれば、その場所の弁護士会と連絡がとれ、当番弁護士に会うことができます。

家族が依頼する場合、逮捕された場所の属する弁護士会に電話して申し込むことになります。

弁護士と接見することで、あなたの認否に応じた具体的なアドバイスを受けることができますし、事件についてある程度の見立て、見通しを教えてもらえます。
弁護士と接見することは何より精神的な支えとなります(なお、逮捕期間は弁護士以外の方との接見は基本的には認められていません)。

また、一概に交通事故といっても、内容によっては比較的軽微なものと思われるものもあります。そうした場合は早期釈放が期待できますので、早期釈放を希望される場合はその旨弁護士に伝えましょう。

まとめ

交通事故でも多かれ少なかれ逮捕される可能性はあります。

逮捕が不安な方、ご家族が逮捕されてお困りの方は早めに弁護士に相談し、方針を決めることが重要です。

刑事事件は、まさに時間との勝負です。

弁護士

川島 浩 弁護士

第一東京弁護士会
住所:東京都港区新橋2-12-17 新橋I-Nビル9階
電話番号: 0120-600-800

2010年弁護士登録。企業顧問法務から、一般民事事件、不動産案件、借金問題、B型肝炎、家事事件と手広く行っています。

よかったらシェアしてください!
目次
閉じる