【夫からのDV被害】離婚のときの慰謝料を最大限上げる4つのポイント

内閣府男女共同参画局によると、配偶者からの暴力相談等の相談件数は増加傾向にあり、平成30年には10万件を超えました。

夫婦生活の中で相手への不満が見えやすくなったり、子どもが成長してきたりといった環境の変化のためか、なかでも30代の割合が最も多くなっています

育児や生活のためになかなか離婚に踏み切れず、自らを犠牲にしてDVに耐える人も少なくありません。

しかし、DVはまぎれもなく犯罪です。

DVによって傷つけられたあなたの心と体は、その損害の償いを相手に請求することができます。

ただ傷つけられて別れるのではなく、あなたの人生を正常にやり直すためにも、正しい知識をもって慰謝料を勝ち取りましょう。

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DVによる離婚での慰謝料の相場とは

一般的な相場

一般的に離婚の慰謝料の相場が50万〜300万円と言われています。

DVによる慰謝料の場合は事案によって内容や程度が異なるため、幅が広くなります。

より高額の慰謝料を得るためには、客観的な判断材料が必要になります。

もちろん状況によっては相場以上の慰謝料を得ることも可能です。

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DVによる離婚の慰謝料については100万円未満から500万円が認められる事案があり、幅が広いです。

なお、不貞による離婚の慰謝料は、およそ300万円ほどであるのに対し、DVによる離婚の慰謝料は、だいたい150万円ほどです。

つまり、不貞を原因とする慰謝料の半額ほどになるイメージです。

慰謝料額が高額になるケース

慰謝料額を上げるには、4つのポイントを押さえる必要があります。逆に言えば、この4つを無視しては高額な慰謝料は望めません。

①DVの期間

どのくらいの期間DVの被害を受けたか。婚姻期間が長く、それに伴ってDVの期間が長ければ、それだけ高額の請求が可能となります。

逆に、婚姻期間が短ければ慰謝料も低くなる可能性があります。

②DVの頻度

実際に暴力を受けたのが一度だけか、三度、四度と増していったか、毎日繰り返されていたか。DVの頻度によって慰謝料の金額は変動します。

もちろん頻度が高い方が慰謝料は高額になります。

③DVによる被害の度合い

例えば暴力によって身体的な後遺症が残り、以降の日常生活に支障がでる場合や、精神的な後遺症(PTSDや心的外傷)が残った場合は、慰謝料は高額になる可能性が高くなります。

④DVの原因

例えば夫のDVの原因が、妻の不貞行為や家事放棄などがきっかけである場合、慰謝料が低くなってしまう可能性があります。

もちろん暴力は認められるものではなく、暴力をふるった方が責められて然るべきですが、見方によっては「暴力に訴えるより他に方法がなかった」ととられ、夫に「情状酌量の余地あり」と判断されかねません。

もちろん、あなたに非がなく、夫の一方的な暴力の場合は、慰謝料は高額になるでしょう。

慰謝料の請求が難しいケース


上記の4点に該当する場合でも慰謝料の請求が難しい場合があります。

例えば、DVが継続的なものでなく一度だけ、軽度のものだった場合は請求が難しくなります。

DVは肉体的または精神的暴力によって、一方がもう一方を支配し、従わせ、傷つける行為といえます。

夫婦が対等な立場でも起こりうる内容と判断されれば、慰謝料の請求は難しくなります。

もちろんDV自体はたった一度でも、外傷が残ったり骨折したりなどの場合は慰謝料の請求が可能です。

4つのポイントを押さえた上で、確実に慰謝料を得るための方法を次項で見てみましょう。

DVの証拠となり得るものとは?各証拠の集め方

DVを受けていたとしても、「夫から暴力を受けた」という言葉だけでは、裁判官や調停官等の第三者にDVが行われたかの判断材料として受け取られません。

第三者から見てDVが行われたと判断するに足る客観的な証拠が必要となります。

では客観的な証拠とはどのようなものでしょう?

病院での診断書

病院での診断書は被害状況を証明するために有効です。

暴力を受けた場合は、病院へ行き、医師から診断書をもらいましょう。

詳細がわかるように「傷病名」や「受診日」、「治療期間」「傷病を負った経緯」等を載せてもらえば良いでしょう。

なお、診断書はあくまで傷病を負ったことを証明するものであり、DVを証明するものではありません。

医者は傷病に対しての診断はできても、その原因がDVによるものかを断定することはできないからです。

しかし、患者からの申告内容を記載することは可能なので、医師には傷病を負った経緯を話し、「患者からの申告ではDVによって傷病を負った」という旨の記載をしてもらうように伝えましょう

精神的な暴力を受け、それが原因で心の病気に陥った場合も同様に、メンタルクリニックや精神科・心療内科で診断書をもらいましょう

日記

継続的に書かれた日記は、証拠として有効です

いつ、どこで、どのような言葉を言われ、どのような暴力を受けたか、なるべく詳細に書き留めておきましょう。

殴られた場合は平手だったか拳だったか、どのくらいの時間暴力を受けたか、被害にあったことでどのような支障があったか等詳細に書くことで信憑性が上がります。また、日記をつけることでその他の証拠の信憑性を高めることにもなります。

ただし、DV被害に遭った時のみのメモではなく、継続的に日記として記録するよう注意が必要です。

また、日記をつける際、スマホのメモや日記アプリでなく、ノートやメモ帳等、紙に直接書くようにしましょう。

デジタルツールの場合、後から急いで書いたり、改ざんしたり等が容易であるため証明力が弱くなってしまいます。また、DVが酷い場合、スマホ等を壊されてデータ自体が取り出せなくなってしまう可能性もあります。

ボイスレコーダー等の録音

事前にボイスレコーダーを準備して携帯している方は多くなく、機会を逃してしまうことも多くなりがちですが、夫があなたの人格を否定するようなことを日常的に言う場合、録音が有効な証拠となります。

暴力をふるった後に形式的に謝罪するような夫であればその時に録音しましょう。

録音が取れたらそのままデータを持っているだけでなく、CDに焼く、SDカードへコピーする等、記憶媒体へうつすようにしましょう。

また、録音が取れたらそれを文字に起こして文書化しましょう

裁判・審判は主に書面でのやりとりになるため、基本的には文面を読んでの判断になります。録音も一応聞きますが、録音状況や時間によっては、証拠となるワードを聞き逃してしまうこともあり得ます。

聞くだけではわかりづらい部分も、文書化されていることで文字として認識することができます。

どういった内容であったかがわかるように文字起こしを忘れないようにしましょう。

被害状況の写真

日記・診断書とあわせて証拠能力の補強として有効です。

「アザができた」、「目が腫れた」等、時間の経過とともに消えてしまう被害は必ず写真にとっておきましょう。その際に、他人の写真と思われないようにするため、「あなたとわかる」写真になるよう注意が必要です。顔や服、指輪・アクセサリー等が一緒に写るように撮影しましょう。

カメラはスマホで十分です。証拠として提出する際にプリントアウトしましょう。

誤ってデータを消去したり(されたり)、スマホの破損・故障でデータを無くさないようにコピーのバックアップは必須です。

家族や友人への相談メール

夫の相談したり、 愚痴をこぼしたりといった内容があれば、そのメッセージのやりとりも証拠になり得ます。

スクリーンショットをプリントアウトして提出しましょう。また、メール等形に残るもので相談してなかったという場合でも、本人の供述をもとにDVが認められるケースもあります。

どういった相談があったか、日付やエピソードをなるべく詳細に書いてもらい陳述書として提出してもらいましょう。

診断書や録音といった証拠が揃えられない、残っていないと言う場合の手段になりますが、もちろん、他の証拠がある場合はそれを補強する形になりますので、可能であれば準備しましょう。

慰謝料の請求方法

通常離婚の際には夫婦で話し合い、折り合いがつかなければ家庭裁判所へ調停を申し立てます。

しかし、DV案件の場合、話し合い自体が困難であり、身の危険が及ぶ可能性が高く、最悪の場合は事件へ発展してしまいます。

第三者を交えても、同居の場合は24時間危険ともいえる状況です。

まずは実家等避難先を確保した上で、離婚を切り出す必要があります

実家や親類に頼るのが難しい場合でも、DVシェルターが民間団体によって運営されているので、そちらへ避難しましょう。子どもも同じ施設に入所することが可能です。

夫からの追跡を避けるために注意しなければならないことや、避難の際に持ち出しておくべきもの等、必ず弁護士と相談の上で、計画を立てましょう

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時効について

DVによる離婚の慰謝料の時効は離婚した時から3年です

「身の安全のために、慰謝料を請求せずにとにかく離婚を第一にしてしまった」という場合でも、あとから慰謝料を請求することは可能です。

また、たとえDV被害にあったのが3年以上前でも、離婚してから3年以内に慰謝料を請求できます。

なお、この3年間の間に裁判を起こせば時効はストップされ、時効を延ばすことが可能です。

もし期間内に裁判を起こすことが難しくても、内容証明郵便を利用して慰謝料を請求すれば、その時から6ヶ月間時効の完成が猶予されますので、その間に裁判を起こすことができます。

例えば、時効が3月20日で、3月1日に慰謝料を請求する内容証明郵便が相手方に到達すれば、6ヶ月時効が停止して、9月1日が時効になります。

離婚後は生活のリズムやパターンが変わって忙しくなり、なかなか請求手続きがとれない場合もありますので、そんなときはこの方法を活用しましょう。

おわりに

DV被害者の中には「自分さえ我慢すればいい」と理不尽な暴力に耐えてしまう方も少なくありません。

「DVなんて一部の家庭にしか起こらない特殊な問題だ」という社会の無理解もその原因のひとつです。

「多少傷ついてもささいなこと」、「自分にも悪いところがあった」と無意識に自分自身を社会の偏見に染めてしまうのです。

この記事が、あなたの人生の再起のためにお役に立てれることを祈ります。

弁護士

西村 雄大 弁護士
大阪弁護士会所属 
梅田パートナーズ法律事務所 代表弁護士
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