弁護士保険ミカタとは

1歩踏み込んだ養育費の話題。相手が生活保護や失業保険受給中だったら

本日の質問

私Xは、40代の女性です。先日、私は夫Yと離婚して、現在は一人娘であるAの親権(監護)をもっています。
元夫のYは、うつ病のために休職し、「傷病手当金」を受給しています。
元夫のYに養育費を請求したいのですが、傷病手当金以外の収入が全く無いYからも養育費をもらえるのでしょうか。

目次

養育費について

離婚後に未成年の子どもと同居して育てている親は、子どもと別居しているもう片方の親に対し、子どもの生活費、教育費、医療費などを養育費として請求することができます。

養育費の相場等に関しては、以下のリンクで詳細に説明されていますので、併せてご参照ください。

傷病手当金は養育費の計算のための収入として扱ってもらえるの?

結論から言いますと、傷病手当金は養育費の義務者(支払う側)の「収入として扱う」ことになります

傷病手当は、健康保険の給付で、働いていた人が病気やケガで会社を休んでいる間に被保険者とその家族の生活を保障するための制度です。

最大で1年6か月程度の期間、給与額等の3分の2程度をもらうことができます。

そして、傷病手当金の制度趣旨は、「被保険者」と「その家族の生活の保障」にあります。

ですので、離婚したからといって「家族」である子どもの養育費を決めるうえで収入と認められないことにはなりません。

傷病手当金を収入として扱ったうえで、その収入に見合った養育費を別居している親が負担するのは当然のことなのです。

したがって、今回のケースにおいて、Xさんは、うつ病のために休職し傷病手当金のみを受けているYに対して、傷病手当金を養育費の計算のための収入として扱ったうえで、その収入に見合った養育費の支払いを請求できることになります。

また、「出産手当金」や「育児休業給付金」なども傷病手当金と同じように収入として扱われることになります。

なお、傷病手当金、出産手当金、育児休業給付金などは、養育費の場合と同様、「婚姻費用」を決める際も収入として扱われることになります。

ちなみに、養育費を受け取る側の親(元夫Yではなく元妻X)が傷病手当金を受け取っている場合にも、養育費を決めるうえではその親の収入として扱われ、受け取れる金額が下がることになりますのでぜひ知っておきましょう。

元夫Yが傷病手当金をもらっている状態でも、養育費(婚姻費用)はもらうことができる

生活保護受給者の場合はどうか?

養育費を支払う側の親が生活保護を受けている場合は、その親は婚姻費用や養育費の分担義務を負うことはありません。

そもそも生活保護の趣旨は、経済的に困窮した人に対して国が「最低限度の生活を保障」することにあります。

したがって、この生活保護の趣旨からすれば、もともと生活保護費には受給者の「最低限度の生活費」しか支給されておらず、別居した配偶者に対する姻費用や子どもに対する養育費については想定されていないのです。

一方、養育費を受け取る側の親(元夫Yではなく元妻X)が生活保護を受けている場合、養育費を受け取るとその分生活保護費が減額されることになります。

なお、養育費の金額によっては生活保護を受ける場合とほとんど大差がないということもありえますが、生活保護を受けている間に、例えば親から多額の相続財産を受けたり、交通事故の損害賠償金の支払いを受けたりするなど、まとまった財産を得た場合にはこれまでに支給された生活保護費の返還を求められることになりますので、生活保護受給中であっても養育費は請求するようにしておきましょう。

元夫が生活保護を受けていると、養育費(婚姻費用)を受け取ることはできない。

私X(受け取る側)が生活保護受けている場合、生活保護費から養育費分を減額される

失業保険受給者の場合はどうか?

養育費の支払義務者が失業保険の受給中である場合、生活保護の場合とは異なり養育費を支払わなければなりません。

失業保険は雇用保険の被保険者(給与所得者)だった人が定年になったり、会社が倒産して仕事がなくなったり、自己都合等で仕事を辞めてしまったという場合などに再就職支援のために支給されるお金ですので、養育費を支払う側の親としては、子どもの養育費を決めるうえで当然に収入として扱われたうえで、その収入に見合った養育費を支払わなければなりません。

元夫Yが失業保険をもらっている状態でも、養育費(婚姻費用)はもらうことができる

養育費を請求する上での注意点

生活保護の場合はもちろんのことですが、傷病手当金や失業保険金も所得とはみなされないため、課税されることもありません。

そのため、養育費を支払う側の親がこれらのお金を受け取っていたとしても、源泉徴収票や確定申告書などの書類には全く記載がないということになります。

養育費を請求する側の親としては、これらのお金を受け取っている可能性を十分に頭に入れながら、適正な養育費の請求をするようにしましょう。

相手の状況を把握することで適正な養育費が受け取れます

さいごに

いかがでしたか?

養育費を決めるときには、弁護士に相談するなどしてきちんとした知識を入れて話を進めるのがよいと思います。

この記事がみなさまのお役に立てれば幸いです。

弁護士

山田康平 弁護士 

神奈川県弁護士会所属

谷法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町3-35 有楽ビル8階
TEL 045-641-0901

依頼者の考えと状況に応じて,依頼者と共に最良の方策を練って対応することを目標に, 不動産・相続問題を中心として個人・企業を問わず幅広く事件を扱う。

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