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再婚しても養育費をもらい続けることはできる?考えておきたい3つのこと

3組に1組が離婚すると言われている現代。

離婚の割合も増えていますが、それに伴い再婚の割合も増えています

平成27年の厚生労働省の調査では、「婚姻総数のうち約27%は再婚者である」という結果が出ています。

そこで気になるのが、「元夫に自分の再婚を知らせるべきかどうか?」という点です。

特に子どもがいる場合、元夫からの養育費が減額されることが多くあるため、悩んでしまうと思います。

結論から言いますと、元夫に再婚したことを伝える法的な義務はありません

しかし、「再婚後も養育費をもらい続けることができるかどうか」は別問題となります。

この記事では、自身が再婚した後も元夫から養育費をもらい続けることができるのかを解説いたします。

目次

再婚後も養育費をもらい続けることはできる?

結論から言いますと、再婚後も養育費をもらい続けることはできます。 しかし、中にはもらい続けることが難しい場合もあります。

養育費をもらい続けることができない場合

元夫から養育費の減額の申し出があった場合や、養育費減額請求調停を行った場合、今まで通りの金額をもらい続けることは難しいといえます。

養育費の金額は、養育費を払う側と養育費を受け取る側の収入額等の要素をもとに、算定表を用いて決められることがほとんどだからです。

当事者同士での話し合い(「協議」の段階)であれば、相手方から「養育費を減額したい」という主張がされても一方的に突っぱねることができます。

しかし、「調停」の段階まで発展してしまうと、調停委員が現在の家庭状況などのヒアリングを行うため、現在と同じ金額の養育費をもらい続ける、という事は難しくなることが多いでしょう。

養育費をもらい続けることができる場合

ではどのような場合に、養育費をもらい続けることができるのでしょうか?

以下の3つが考えられます。

・元夫に「再婚した」と伝えていない場合
・離婚時と経済状況が変わらない場合
・養育費について書面で取り決めしている場合

大抵の場合、自ら元夫に「再婚した」と伝えない限り、相手方はあなたの再婚を知る機会はありません。

そうであれば、これまでと変わらない金額の養育費をもらい続けることは可能だといえます。

ただし、子どもとの面会交流の際に子どもが伝えてしまう事もあります。
それによって、元夫とトラブルになることも少なくはありません。

例えば、子どもの学校における父親が参加する行事に元夫と現在の夫のどちらが出るかなどでもめてしまうなどが考えられます。
ですので、弁護士の立場からすると、基本的には再婚したことを隠すというのは好ましいことではないと考えます。

また、まれなケースではありますが、再婚したとしても離婚時と経済状況が変わらない場合には、調停になったとしても減額とならない場合があります。

そして、養育費の支払いについての取り決めを書面(公正証書)で交わしている場合、その内容によっては養育費をもらい続けることが可能です。

例えば、「元妻が再婚した場合にも、養育費は月○万円支払い続ける」などというような取り決めをしている場合です。

養育費をもらい続ける場合の注意点

「再婚しても養育費を変わらずもらい続けたい」を思った時に、どんなことに注意するべきでしょうか?

元夫の養育費の支払い義務は原則継続する

基本的な話ですが、夫婦が離婚したとしても、子どもと子どもの実父の親子関係がなくなるわけではありません。

これは再婚相手の男性と子どもが養子縁組をした場合でも変わりません。

しかし、通常は、同居している親(つまり養父)が優先的に養育することになります。
すなわち、第一扶養義務者が再婚相手、第二扶養義務者が元夫、となります。

第一扶養義務者である再婚相手の下で十分な養育ができていると判断されれば、第二扶養義務者である元夫は、養育費を支払う義務がなくなります(場合によっては養育費を減額して支払い続ける、という可能性はあります)。
例えば、再婚相手の失職や病気などで十分な養育ができない環境になると、第二扶養義務者である元夫に養育費を請求することが可能となります。

特別養子縁組をしている場合

上記では元夫に養育費を請求できる可能性を説明しましたが、再婚相手と子どもが特別養子縁組をした場合には、元夫の義務が消滅しますので注意が必要です。

特別養子縁組とは、養子を実子と変わりない親子関係を結ぶことができる制度のことです。
これは生みの親(実親)との関係が完全に消滅する制度でもあります。

家庭裁判所に申し出をする必要があり、また要件についても普通養子縁組よりも厳しいものとなっています。

普通養子縁組と特別養子縁組の違いは以下の通りです。

養子縁組の要件

上記のように、特別養子縁組をしている場合には、実父とのつながりがなくなりますので、たとえ養父が失職した場合や病気になった場合でも、実父に養育費を請求することができなくなります。

再婚後再び離婚となった場合にはどうなる?

・養子縁組していないが養育していた場合
・養子縁組していた場合

どちらの場合も離婚となった場合には、養父ではなく実父へ扶養義務が移ります。

この場合には再び元夫に養育費の請求ができるでしょう。

特別養子縁組していた場合

この場合には、特別養子縁組をした時点で実父とのつながりが消滅しますので、養父(再婚相手)が常に扶養義務を有します。

そして、その後、たとえ養父(再婚相手)と離婚となった場合でも、養父(再婚相手)に養育費を請求することができます。

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元夫に再婚を隠していた場合、返還請求される可能性はある?

自身の再婚を元夫に隠していた場合、「再婚時にさかのぼって養育費を返還請求されることはあるのだろうか?」と疑問に思うことがあるかと思います。

これについては、新たに取り決めがなされていない以上、原則としては過去にさかのぼって返還請求できることはないでしょう。

ただし、裁判例によっては過去にさかのぼって認めているものがないわけではありません。

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上記でも触れましたが、養育費は子どもの権利とはいえ、
元夫に対しては再婚したことを誠実に伝えるのがよいでしょう。

調停・裁判時には誠実に対応することが大事

各々の状況によっては、相手方から養育費減額請求を求められることもあります。
その場合には誠実に対応するようにしましょう。

道徳的観点を大切に

もし再婚したと伝えたとしても、例えば、元夫の人柄として、「自分の子どものためだから養育費は減らさなくていい」とこれまでの養育費の支払いを続けるような方である可能性はあります。

しかし、もし再婚したことを隠した場合、相手を怒らせてしまい、その結果、「どうして知らせなかったんだ」、「自分はそんなに信用ならない人間なのか」などと言われるだけでなく、減額の申し入れをされたり、養育費を払わなくなったりするという可能性があります。

また、離婚したとはいえ面会交流など連絡を取り合う必要がある場合、ギスギスしてしまうとそれが子どもに伝わって悪い影響を与えてしまいかねません。

道徳的な観点からも、程よいころ合いを見て元夫に再婚した旨を伝えたほうがいいでしょう。

心証が悪いと減額や打ち止めされる可能性も

調停の場での話し合いでは、調停委員を間に入れ、自身と相手方の状況に鑑みて養育費の増減額を決定します。

その際に調停委員に伝えていることと元夫に伝えている事実が異なると、調停委員の心証が悪くなる可能性があります。

調停委員も人間ですので、心証の良い方の味方をしたいと思うのが自然です。

予期せぬ形で不利にならないように、不用意に嘘をつくことは避けるようにしましょう。

自身の再婚を元夫に伝えるメリット~子どもの相続権について~

自身の再婚を伝えることによるメリットもあります。

その1つとして「子どもの相続権」があります。

子どもの相続権については以下の3通りが考えられます。

①再婚相手と子どもが養子縁組をしない場合

再婚相手(子供から見た養父)が亡くなった場合には法定相続人になることはできませんが、実父が亡くなった場合には法定相続人になることはできます。

②再婚相手と子どもが普通養子縁組をした場合

実父が亡くなった場合も養父が亡くなった場合も、どちらも法定相続人となることができます。

③再婚相手と子どもが特別養子縁組をした場合

養父が亡くなった場合には法定相続人となることができますが、実父が亡くなった場合には法定相続人となることができません。

再婚相手(養父) 元夫(実父)
①養子縁組をしない 相続できない 相続できる
②普通養子縁組をした 相続できる 相続できる
③特別養子縁組をした 相続できる 相続できない

別れた子どもに対しても相続権があることを知らない元夫が、「離婚したんだから相続は関係ない」と相続についての取り決めなどを行わなかったために、新たな家庭の子どもと相続争いに発展することが多くあります。

上記を参考に①②③いずれが子どもにとって望ましいのかを考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがでしょうか?

「再婚したら元夫から養育費をもらい続けていいのか?」という相談がよくあったので今回の記事を書いてみました。
子どもにとっては、親の離婚や再婚は、将来の相続問題に大きな影響があります。

この記事が読んだ方の参考になれば幸いです。

弁護士

弁護士  松本 隆
神奈川県 弁護士会所属
横浜二幸法律事務所
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115
労働紛争・離婚問題を中心に、相続・交通事故などの家事事件から少年の事件を含む刑事事件まで幅広く事件を扱う

この記事を書いた人

大川ゆかり 
当サイト「ミスター弁護士保険」編集長
法的トラブルは予防と備えが必要ということを広めるべく、弁護士への取材を通じ、情報発信しています。

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