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【養育費算定表の改正】養育費増額請求するための3つの知識

2019年に養育費算定表が16年ぶりに改定されました。

平均的に1〜2万円の増額傾向です

離婚して数年経過していくと、子どもの成長に伴い、養育費も増えていくでしょう。

「1度決めてしまったからもう養育費を増やすことはできないのかなぁ。」と思っている方も少なくないと思います。

結論を申し上げますと、
養育費を一度取り決めたとしても、状況に応じて増額することができるということです。

本記事を参考にし、子どもの幸せのために養育費の増額を実現していきましょう

目次

一度決めた養育費の金額を変更することはできる

養育費の変更

一度決めた養育費の金額を、後から変更することはできます。

子どもの成長に伴ってかかる養育費用は違ってくるからです。
(一般的には年齢が上がるにしたがってかかる養育費も上がっていきます)

したがって、一旦合意した養育費でも交渉することで増額することができることがあります
(もちろん減額になることもあります)

2019年12月に16年ぶりに養育費算定表が改正されました。
現在の社会情勢や税制、公立高校の学費減少などを鑑みた改正です。

この改正によって平均的に1〜2万円程度の養育費増額が見込まれるでしょう。

2019年12月よりも前の養育費算定表から減額になった収入世帯はありません。

同額か増加傾向です。

もしもこれから、養育費の再交渉を元配偶者に申し入れるのであれば、新しくなった算定表を参考にして養育費の増額を申し入れれば通りやすくなるでしょう。
とはいえ、元配偶者の経済状況やこちら側の状況にもよりますので、必ずしも算定表通りの養育費の増額が可能というわけではありません。

養育費新算定表はこちらから(裁判所)

養育費が増額できるケースと増額が認められないケース

養育費が増額できるケース

では、どういったケースで養育費の増額が認められるのか・認められないのかをご紹介します。

増額できるケース

養育費を増額できるケースとは主に下記4点のケースです。

①子どもの進学などの環境の変化で教育費用が必要な場合
②子どもが重い病気や怪我で高額な医療費が必要な場合
③監護権者が病気や怪我で収入が減ってしまった場合
④元配偶者の収入が著しく増えていた場合

これらは、養育費の増額が認められやすいケースといえます。

①については、子どもの成長により中学校、高校と進むにつれて教育費用はどんどん上がっていきます。私立に入る場合にはその傾向は特に顕著でしょう。

②③については、子どもやあなたの病気・怪我の場合も特別な事情として認められやすいといえるでしょう。

④については、元配偶者が昇進したり事業が成功したりして著しく収入が増加した事実も増額の根拠といえるでしょう。

ただ、④は、元配偶者が著しく収入が上がっていることをこちら側(養育費を受け取る側)が知る術があまりなく、現実的には使えることはないかもしれません(子どもの面会交流の際に子どもに収入が上がったと話して発覚することもなくはありませんが)。

他にも、会社役員に昇進したなど、あなたにも知りうる術があるなら交渉の余地はあるでしょう。なお、多少の収入増加では養育費の増額は期待できません。

増額が認められないケース

では、反対に養育費の増額を請求しても拒否されてしまうケースについてお話しします。
下記のようなケースでは、養育費の増額は難しいといえます。

  1. 贅沢するために養育費を増額したい場合
  2. 元配偶者の収入が離婚時よりも減少していた場合
  3. 元配偶者が病気や怪我で働けない状態の場合
  4. 元配偶者が再婚し世帯収入はアップしていないにもかかわらず扶養する家族が増えていた場合
  5. 自分が再婚し再婚相手と子どもを養子縁組していた場合
  6. 自分の収入が大幅に増加していた場合 など

これらの場合には、養育費の増額を請求しても認められない可能性があります。

いくら、子どもが成長し、私立の学校に進学したからといっても、1~6のような事情がある場合には、必ずしも養育費が増額されるとは限らないので注意が必要です。

養育費が増額できるかどうかは、あくまでもあなたと元配偶者の経済状況や扶養家族などの人数に左右されるのです。

養育費が減額されるケース

反対に養育費の増額を申し入れても減額交渉されてしまうケースについて見ていきましょう。

以下のような場合、こちらが増額請求をしても、話し合いの結果、逆に養育費が減額されてしまうこともありますので注意したいポイントです。

  1. 元配偶者の収入が離婚時よりも減少していた場合
  2. 元配偶者が病気や怪我で働けない状態の場合
  3. 元配偶者が再婚し世帯収入はアップしていないにもかかわらず扶養する家族が増えていた場合
  4. 自分が再婚し再婚相手と子どもを養子縁組していた場合
  5. 自分の収入が大幅に増加していた場合

増額が認められないケースとほぼ項目は同じですが、相手の出方次第では増額どころか減額交渉をされてしまう恐れがあります。

例えば、元配偶者が再婚し、相手が専業主婦で新たに子どもをもうけていた場合には、扶養する人数が少なくとも2人は増えていることになります。
元配偶者の収入が離婚時よりも増えていればこの限りではありませんが、収入が変わらないか減っていたとすれば、養育費の減額を申し入れられてしまう恐れがあるでしょう。

また、元配偶者がリストラなどにあい、収入が大幅にダウンしていたケースでも減額交渉をされる恐れがあります。

元配偶者が「給料が減って大変だ」と思っていても「かわいそうだから養育費の減額交渉はしないでおこう」と子どもの為を考えることはあります。

しかし、もしこちら側から養育費の増額の申入れがあった場合には「こちらも遠慮なく減額交渉をしよう」と思ってしまうことがあるでしょう。

ですから、増額交渉をする際には、先に相手の現在の状況を確認した上で慎重に交渉を進める必要があるのです。

思いつきで動かない方が賢明だといえるでしょう。

養育費の増額請求の具体的な方法

養育費の増額請求

では、養育費の増額を具体的に請求する手順をご紹介します。

まずは当事者同士で交渉していきましょう。

当事者同士での話し合い

まずは養育費を増額したい旨を、元配偶者に伝えることから始めましょう。

口頭でも、電話でも、LINEなどでも構いません。
子どもの進学や自分の病気などの事情を話せば、この段階でも相手側が増額を認めてくれる可能性はあります。

もしも電話などで養育費の申入れが認められた場合には、念のため養育費の金額や、いつからかなどを記録しておいてください。後から齟齬を生じることがないようにしっかり記録しておくことが大切です。

メールやLINEで文字にして残しておくことは最低限しておきましょう。

話し合いがうまくいかず、こじれてしまったり、元配偶者から返答がもらえなかったりした場合には、養育費増額を申し入れる「内容証明郵便」を送付しておきましょう。

「調停」や「審判」になった場合に、証拠として提出することができます。

ただし、内容証明郵便は相手に対する大きなプレッシャーにもなりますので、相手の性格によっては激怒してしまうこともあり得ます。
ですので、電話やメールで話し合いが進んでいる場合には、内容証明郵便を出さずに進めることも考え、出すべきかどうかを見極めるようにしましょう。

なお、相手の居住地や連絡先がわからない場合には、話し合いも養育費請求調停の申立てもすることができません。

その場合には、「戸籍の附票」を取り寄せてください。相手方が本籍を変更していない限り、相手方の現在の住民登録上の住所が記載されています。

戸籍の附票の取り寄せ方法

必要なもの
・戸籍の附票の写し交付申請書(役所に置いてあります)
・手数料(役所によって異なります)

窓口で直接受け取る場合には、本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)や印鑑が必要になりますので、忘れずに準備しましょう。

郵送で取り寄せる場合

・戸籍の附票の写し交付申請書または以下を記入した用紙
   ①「戸籍の附票の写し請求」と記載
  ②取り寄せたい附票の本籍地
  ③取り寄せたい附票の筆頭者
  ④戸籍の附票の「全部」か「一部」か
  ⑤必要な通数
  ⑥請求者の氏名・生年月日・電話番号・住所
  ⑦証明したい内容
  (例えば「(同居していた時の住所)~現在の住所までのつながりを証明したい」等です)
・本人確認書類(運転免許証やパスポート)のコピー
・切手を貼った返信用封筒(自分の住所を記入してください)
・手数料分の定額小為替


郵送先・郵送内容については、役所によって様式が異なる場合があります
また、場合によっては使用目的を聞かれることがありますので、事前に役所に電話などでご確認ください。

また、自分で取り寄せることが難しい場合には弁護士に依頼することにより取得することができます。

弁護士を間に入れた話し合い

もしも元配偶者が話し合いに応じない場合や話し合いがこじれた場合には、弁護士を間に入れて話し合うことも有効です。

あなたの話には応じなくても法律の専門家からの要請なら耳を傾ける可能性があるでしょう。

以下、弁護士に依頼するメリットとデメリットを見ていきたいと思います。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで元配偶者にあなたが「本気であること」を感じてもらえるというメリットがあります。
また、弁護士は法律のプロなので交渉に長けています。したがって、養育費を増額できる可能性が高まるでしょう。

もし今後、養育費増額調停を起こすことになったときに、どのような証拠がこちらに有利に働くか等のアドバイスも受けることができます。

弁護士に依頼するデメリット

弁護士に相談や依頼をすることで「お金がかかってしまう」ことがデメリットです。

しかし、中には無料相談などもありますので、無料相談などを利用して自分にあった弁護士をじっくり選べば料金に見合った成果を得られるでしょう。
また、昨今では「弁護士保険」がありますので、事前に加入しておけば、いざというときに安心です。

養育費請求調停を起こす

元配偶者との話し合いが不成立となった場合には、「養育費請求調停」を家庭裁判所に申し立てましょう。申立人は父母どちらでも構いません。
申立ては相手方の住所地の家庭裁判所、もしくは双方で合意をした家庭裁判所になります。

養育費請求調停が不成立になった場合は、裁判官が決定する「養育費請求審判」にそのまま移行します。

必要書類

養育費請求調停に必要な書類は下記3点です。その他裁判所に指定された資料があれば随時持参する必要があります。

①申立書及びその写し一通
②対象となる子の戸籍謄本(全部事項証明書)
③申立人の収入に関する資料(源泉徴収票の写し、給与明細の写し、確定申告書の写し、非課税証明書の写しなど)

かかる費用

■収入印紙
養育費請求調停で裁判所にかかる費用は子ども1人につき収入印紙1,200円分です。

■郵券代(切手)
また、連絡用の郵便切手が必要になりますが、そんなに高いものではありません。
具体的な郵便切手の費用は各家庭裁判所によって異なりますので確認してください。

■弁護士費用
その他に、弁護士に依頼すると、「弁護士費用」も発生します。
おおよその相場は着手金20万円程度と報酬金20万円程度と考えればいいでしょう。
その他、弁護士事務所によっては経済的利益(養育費の増額分)の○%を成功報酬で支払う場合があります。

事前に、養育費の請求が経済的利益に含まれるのかを弁護士事務所に確認するといいでしょう。

養育費増額までにかかる期間

養育費増額までの期間は話し合いだけで決定したなら当事者同士でいつから増額するのかは自由に決められます。
例えば、もし「来月から2万円の増額お願いね」と伝えて、相手が合意すれば来月から増額が可能です。

ですが、一般的に、養育費増額調停にかかる期間は、少なくとも半年くらいは見ておいた方がよいでしょう。
中には1年以上かかるケースもあります。養育費増額調停は平日に開催されるため、仕事の都合で出廷できないなどの事情が重なればどんどん長引いてしまいます。

養育費の金額が決まったら公正証書化しよう

話し合い(交渉)によって養育費の金額が決まった場合は、その内容を公正証書にするべきです。

口約束だけでは本当に増額される保証がありません。
ですが、公正証書にすることで未払いの場合は法的に強制執行が可能になります(なお、そのためには「強制執行認諾文言」というものを入れる必要があります)。

公正証書を作成するためには最寄りの公証役場に予約を取りましょう。
予約の日に公証役場に出向いて、養育費増額の取り決め事項を(いつからいくらなど)公証人に伝えます。
お互いが合意した書面があれば伝わりやすいでしょう。
養育費増額の情報を元に公証人が公正証書を作成し、1週間から10日程度で公正証書が自宅に郵送されます。

なお、「養育費請求調停」で養育費の増額が認められた場合には、調停証書や審判書などを請求できますので、公正証書を作成する必要はありません。

あくまでも公正証書は当事者間の話し合い(交渉)で決定した場合に作成するものだと覚えておきましょう。

まとめ

離婚後でも養育費の増額は可能です。

子どもの進学などで養育費が足りずに一人で悩む必要はありません。

父親は一生子どもの父親です。
子どものためのお金なら悩まずに父親に相談するべきです。

たしかに、養育費はお互いの経済状況や健康状態などで必ず増額できるわけではありません。

しかし、2019年12月に養育費算定表が改正されましたので、養育費の増額が認められる可能性は高まったといえます。

もしもあなたが養育費にお悩みなら一度元配偶者に相談してみましょう。

そして、話し合いに応じてもらえなければ弁護士に相談してみてください。

きっと、子どもの未来のために養育費の増額が認められるのではないでしょうか。

あなたと子どもが安心して生活できることを心より願います。

弁護士

弁護士  松本 隆

神奈川県 弁護士会所属
横浜二幸法律事務所
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115

労働紛争・離婚問題を中心に、相続・交通事故などの家事事件から少年の事件を含む刑事事件まで幅広く事件を扱う

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